5日目 (物理モデルについて)
物理モデル
概要
デバイスシミュレーションで使う物理モデルは非常に複雑で1574ページのマニュアルのほとんどは物理モデルの解説です。
全部は解説できませんが、よく使う物理モデルに関して簡単に解説していきます。
既に出てきた物理モデル
HeavyIonモデル (manual : chapter 22)
既に説明しました。詳細はマニュアルの chapter 22を参考にしてください。
Traps モデル (manual : chapter 17)
既に説明しました。詳細はマニュアルの chapter 17を参考にしてください。
その他 Exampleに定義されていたもの
昔の学生がまとめてくれたページです。
電極の温度の設定
放射線損傷後のデバイスを測定する際、大きな暗電流が問題になります。
前回の最後に見たMIP粒子のシミュレーションではMIP粒子の収集電荷による電流の増加と同等の暗電流が見られます。
この状態だと当然信号検出が難しくなります。
暗電流を少なくするには温度を下げることが効果的で、通常放射線損傷後のデバイスは-20度以下の環境で測定を行います。
IV_des.cmd , CV_des.cmd, MIP_des.cmd の三つのファイルに温度を加えます。
まず、Thermodeセクションを加えます。
Thermode{
{ Name="anode" Temperature=@<Temp+273>@ SurfaceResistance=5e-4 }
}
さらにPhysicsに Thermodynamic と RecGenHeat の二つの物理モデルを加えます。
また、SolveセクションのCoupled{}や、ACCoupled{} にTemperatureを加えてみます。
最後に
ワークベンチのfluenceパラメータの前にTempパラメータを加えて、20, 0, -20のValueをセットします。
結果が見たいノードを走らせてみて結果を見ていきます。
IV特性の温度依存性
まずは未照射のIVカーブの温度比較です。約一桁ずつ減っていくことがわかります。
CV特性の温度依存性
CVカーブの照射量依存性も20度(左)に比べて-20度(右)は若干改善しているのが見られますが、1e15neq/cm2以上の照射量では測定が難しいことがわかります。
MIP応答の温度依存性
MIPシミュレーションの照射量依存性も比較してみましょう。
20度(左)だと暗電流の影響で電流のoffsetが大きかったものが、-20度(右)だと信号に対して十分小さくなっているのがわかります。
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Atlasj Silicon - 2020-06-02