デバイスエディタの基礎
シンプルなダイオード
SDEではデバイスの構造を作ることができます.
まずはシンプルなダイオードの構造です.
“How to use TCAD”の例と同様にプロジェクトを作るところから始めます.
cd /home/[username]/work/Silicon/TCAD/Sentaurus/tutorials
mkdir LGAD
swb&
tool barから.
Project -> New -> New Project
Project -> Save As -> Project
/home/[username]/work/Silicon/TCAD/Sentaurus/tutorials/LGAD/IV
-> OK
次にsde_dvs.cmdをコピー.
cd ~/work/Silicon/TCAD/Sentaurus/tutorials/LGAD/IV
cp /home/swada/work/Sentaurus/TCAD_WS/sde_dvs.cmd ./
右側 Project tabから.
No Tools 右クリック -> Add
Name : sde
Run As : batch (/interactive)
OK
Node番号を表示させておきます.
(nodeは結構見ることになるので表示させる癖を付けておくと良いです)
View -> Tree Options -> Show Node Numbers
今はsde_dvs.cmdの中に変数がないので,そのまま走らせてみます.
[n1] 右クリック -> Run
Nodes : 1
Queue : local:default
Run
走り終わると青色(running)から黄色(done)にnodeの色が変化します.
赤色(failed)のときはsde_dvs.cmdを訂正する必要があります.
出来上がった構造を見てみてください.
[n1] 右クリック -> Visualize -> Sentaurus Visual (selected file)
n1_msh.tdr -> OK
SDE編集
ここからsde_dvs.cmdの中身を見ていきます.
ついでにLGADの構造としてN+電極の下にPwell層を入れていきます.
例に示したsde_dvs.cmdは大きく以下の4つのパートから成ります.
PARAMETERS
GEOMETRY
DOPING
MESH
因みにPARAMETERの後ろにSET Min Maxがありますが,結局はparametersを決めているところです.
<PARAMETERS>
ここでは後々必要になる長さや,濃度などを好きな名前で定義しておきます.
初めの方を見てみるとこんな感じです.
;SUBSTRATE PARAMETERS
(define substrate_thickness 150.)
(define substrate_length 250.)
;N ELECTRODE PARAMETERS
(define n_electrode_thickness 2.)
(define n_electrode_length 120.)
(define n_electrode_position (/ (- substrate_length n_electrode_length) 2))
(define パラメータ名 数)で定義できます.
長さは単位マイクロメートル,濃度は立方センチメートル当たりのatom数です.
最後の行はx軸のどこから電極にするかというパラメータですが,上のように式で定義することもできます.
(それまでに定義した数で表せる場合はなるべく式にしておくと,書き換えるときに楽です)
四則演算の表し方は記号を前に出すだけなので,次のようになります.
足し算A+B: (+ A B)
引き算A-B: (- A B)
掛け算A×B: (* A B)
割り算A/B: (/ A B)
上の例のようにカッコ内にカッコを入れても大丈夫です.
セミコロンはコメントアウトです.Pwell層に関する項目は現在コメントアウトされている状態なので,随時セミコロンを外していってください.
変数を定義したいときは@変数名@のように書きます.
(define p_well_doping_concentration 1e+12) の部分を下のように変数にしてください.
(define p_well_doping_concentration @Dpwell@)
このように変数を定義したときは,走らせる前に変数に値を入れなければいけません.
ここではpwell層の不純物濃度を変数にしてみました.
<GEOMETRY>
ここではデバイスの大きさやデバイスシミュレーション時に電圧を与えたりする電極を決めています.
(sdegeo:create-rectangle (position Xmin Ymin 0) (position Xmax Ymax 0) semiconductor_material "substrate_structure")
(sdegeo:insert-vertex (position n_contact_Min Ymin 0))
(sdegeo:insert-vertex (position n_contact_Max Ymin 0))
(define XN (+ n_contact_Min (/ n_electrode_length 2)))
(sdegeo:set-current-contact-set "n_electrode")
(define CN (find-edge-id (position XN Ymin 0)))
(sdegeo:set-contact-edges CN)
1行目はバルク部の領域を定義しています.
2〜7行目まででN+電極を定義しています.これはライン状の電極です.
<DOPING>
ここでは不純物濃度を決めています.
;SUBSTRATE (p-type): CONSTANT PROPFILE
(sdepe:doping-constant-placement "substrate_doping_concentration" "BoronActiveConcentration" substrate_doping_concentration "substrate_structure")
;N ELECTRODE
(sdedr:define-refeval-window "n_electrode" "Line" (position n_electrode_Min Ymin 0) (position n_electrode_Max Ymin 0))
(sdedr:define-gaussian-profile "n_electrode" "PhosphorusActiveConcentration" "PeakPos" 0 "PeakVal" n_electrode_doping_concentration "ValueAtDepth" substrate_doping_concentration "Depth" n_electrode_thickness "Gauss" "Factor" 1)
(sdedr:define-analytical-profile-placement "n_electrode" "n_electrode" "n_electrode" "NoSymm" "NoReplace" "Eval")
大きく分けて2つの方法があり,バルク部のように一様な分布の場合には,GEOMETRYで領域を定義しておき,DOPINGで上のように定義します.
一様な分布でない場合は,下のN+の例のように定義することができます.
(ここでもpwellに関するところがコメントアウトしてあるので,セミコロンを除いておいてください)
<MESH>
ここではシミュレーションをどれくらい細かく見るかを設定できます.
;Refinament SUBSTRATE (ALL)
(sdedr:define-refeval-window "RFW1" "Rectangle" (position Xmin Ymin 0) (position Xmax Ymax 0))
(sdedr:define-refinement-size "RFS1" (/ Xmax 50) (/ Ymax 10) (/ Xmax 500) (/ Ymax 100))
(sdedr:define-refinement-placement "RFP1" "RFS1" "RFW1")
2行目で領域,3行目で分割を決めて,4行目でMESHをかけています.
細かくしすぎるとシミュレーションに時間がかかります.
LGADなダイオード
それではsde_dvs.cmdを保存して,もう一度[n1]を走らせてみましょう.
ただし,pwell層の不純物濃度は"Dpwell"という名前の変数にしたので,値を入れておきます.
SDEの絵の下のセル 右クリック -> Add
Parameter: Dpwell
Default Value: 1e+16
Process Name: default0
-> OK
先ほどを同じように[n1]で右クリック -> Runで走らせ,終わったらSentaurus Visualで見てみてください.
上のようにpwell層が出来ていれば成功です.
出来なかったときは,コメントアウトを外し忘れているところがないか確認してみてください.
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Atlasj Silicon - 2018-06-26
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